はじめに
ゲーム共同制作が止まるとき、原因はだいたい似ています。もちろん、技術力や人数も大事です。
ただ実際には、止まりやすいポイントがあるのではないか。
失敗したケースと、うまくいったケースの両方を見て、そう思うようになりました。
当たり前に感じるポイントもあるかもしれませんが、特に制作中には気づきにくいこともあるかと思います。
今回は、ゲーム共同制作で失敗するチームと成功するチームの違いを、自分の経験ベースで書いてみます。
失敗するチーム
リーダーが機能していない
失敗する理由はいろいろあります。忙しいとか、技術が足りないとか、方向性がズレたとか。
でも、最終的に失敗が確定する場面を見ると、だいたいリーダーが止まっています。
パターンは大きく次の二つです。
- リーダーがやる気を失う
- リーダーが機能していない
趣味のゲーム共同制作は、仕事みたいに誰かが強制してくれるものではありません。
だから、リーダーが失速すると、そのまま全体が止まりやすいです。
また、やる気がゼロではなくても、リーダーとして機能していないとやっぱり進みません。
誰が何をやるのか、いつまでにやるのか、今どこが詰まっているのか。
そこが見えていないと、結局みんな動けないからです。
一人が頑張っている
ゲーム共同制作は、誰か一人が頑張っていても中々完成しません。
ここは結局、プロジェクト管理の話になりますが、止まると次が止まる工程があります。
いわゆるクリティカルパスみたいなものです。
例えば、企画やジャンルが決まらなければシナリオもプログラムも進みません。
絵師だけやる気があっても、シナリオが弱い、あるいは固まっていないと、人物の変更等も生じるかもしれません。
全体は前に進みにくいです。逆に、最終的にできることはプログラマに依存する部分もあります。
つまり、全員がむやみに頑張ればいいわけではなくて、どこが止まると進行が止まるのかを見ながら順番に進めていく必要があるということです。
目標が一致していない
これもかなり大きいです。ゲーム共同制作では、やる気があるだけでは足りません。
大事なのは、何を目指しているのかがメンバーの間で一致していることだと思います。
たとえば、次の二つの考え方では、同じゲーム制作をしていても見ているゴールが違います。
- まずは小さくてもいいから一作完成させたい人
- 出すなら、ある程度のクオリティは必要だと思う人
このズレを放置したまま進めると、途中でかなり揉めやすいです。
前者からすると「そのこだわりだと終わらない」になりやすいし、後者からすると「そのまま出しても意味がない」になりやすいからです。
どちらが正しいというより、目標が一致していないこと自体が問題なんだと思います。
リーダーだけやる気があっても、他のメンバーがついていけずに離脱していくなら、それも終了パターンです。
完成を優先するのか、品質を優先するのか。どの規模まで作るのか。どこは妥協して、どこは妥協しないのか。
このあたりまで共有できていないと、やる気があっても減速しやすいです。
成功するチーム
メンバー同士の尊敬がモチベーションにつながっている
逆に、うまくいくチームには共通点がありました。
ひとつは、メンバー同士に尊敬があることです。これは意外と大事です。
誰かの成果に対して、ちゃんと「すごい」と思えること。
実際に「これいいね」「助かった」「すごいじゃん」と言葉に出ること。
こういう空気があると、単純にモチベーションが上がります。
趣味制作は、反応がないだけでかなりしんどいので、ちゃんと見てもらえている感覚は大きいです。
また、企画ありきで人を集める場合は、相手のポートフォリオや過去作を見ることも大事だと思います。
この人の作るもの、いいな。この人とやりたいな。ちゃんとそう思える相手かどうかは、かなり大きいです。
特にライターは向き不向きが出やすいです。
この人の書くこのジャンルはすごくいい、と思えるなら上手くいく可能性が高いです。
でも、正直あまり面白くないな、と思ってしまう相手とやるのは結構きついです。
これは単純な技術の問題だけではなくて、尊敬できるかどうかの話でもあります。
相手の成果をよいと思えないと、修正や相談のたびにじわじわ消耗します。
企画とメンバーの相性が合っている
これもかなり大事だと思っています。
また、「このメンバーで作りたい」なのか、「この企画で作りたい」なのか。
そのどちらなのかでも、かなり違います。
「この企画を作りたい」なら、その企画に合うメンバーを選ぶ必要があります。
でも、そうではないのにメンバーから決めると、かなり揉めやすいです。
たとえば、次のようなことによる停滞が考えられます。
- ホラーゲームを作りたいのに、絵師の方向性が合わない
- 推理系ノベルを作りたいのに、ライターの得意分野がずれている
- アクションゲームを作りたいのに、必要な実装に対してプログラマのスキルが不足している
こういうズレがあると、最初は勢いで進んでも、そのうち減速しやすいです。
「はじめてでもやってみるよ!」という前向きな気持ちがあれば成功する場合ももちろんあります。
しかし、挑戦に対する意欲や、それを達成するための下地次第で、停滞する原因となります。
逆に、このメンバーで作りたいなら、その中ですり合わせるのは当然です。
最初から理想がぴったり一致することはあまりないので、ある程度合わせる前提になります。
やりたい企画と、その人の得意なことや作りたいものが噛み合っていること。
これは思っている以上に大事です。
リーダーが管理と役割調整をしている
もうひとつ大きいのが、リーダーがちゃんと管理していることです。
何を作るのか。誰がやるのか。いつまでにやるのか。どこが止まっているのか。
こういう当たり前のことが、実際にはかなり大事です。
趣味制作は自由だからこそ、ここがないと驚くほど何も進みません。
あと、リーダーは進行管理だけしていればいいわけでもありません。
全員に均等に仕事を割り振るバランサーとして機能しないと、空気が悪くなります。
放っておくと、やっぱり出てきます。「あの人何もしてないな」という感情が。
でも実際には、役割によって作業の見えやすさが違います。
見える成果もあれば、見えない作業もあります。
だからこそ、リーダーが次のようなマネジメントを担わなければ、不公平感だけが残ります。
- 誰に何を振るか
- 負担が偏っていないか
- 見えない作業をどう共有するか
また、共同制作では指示待ち状態も普通に起きます。
誰かが怠けているというより、次に何をすればいいのか分からないまま止まっている状態です。
「やっていると思っていた」ということもあります。
少し仕事っぽく感じるかもしれませんが、今誰が何をしているのか、どこまで進んでいるのかを確認するのはかなり大事です。
そこを見ないままにすると、誰も悪くないのに全体が止まります。
ゲーム制作で本当に壁になりやすいもの
個人的な実感にはなりますが、共同制作で特に壁になりやすいのはこの4つです。
- 企画 → しっくり来なければすべてがやり直しになる要素です。
- シナリオ → 面白くなければ、スランプに陥れば止まります。
- プロジェクト管理 → 誰が何をいつまでにやるかを決め続けなければ、進みません。
- モチベーション → ネガティブな感情ばかりでは、解散につながります。
絵師やプログラマにももちろんスランプはあると思います。
でも、少なくとも「作るもの」が決まっていれば進められる部分は大きい。
それに対して、企画やシナリオや管理は、明確な答えが無いため、止まる壁が多いです。
だから、共同制作で本当に大変なのは、絵や実装そのものというより、ゼロから企画やシナリオを生み出すこと、そして進行やモチベーションをマネジメントし続けることなのかもしれません。
まとめ
ここまで、ゲーム共同制作で失敗するチームと成功するチームの違いを書いてきました。
そのうえで思うのは、今の時代は昔よりかなり作りやすくなった、ということです。
ノベルゲームなら、今はプログラミングなしでも作りやすいツールがあります。
RPGであっても、ツクールのような便利な制作環境がありますし、素材もかなり豊富です。
だからこそ、昔よりも「大人数じゃないと作れない」という場面は減っていると思います。
無理に大きなチームを組まなくても、個人や少人数でも十分に形にしやすい時代です。
もちろん、共同制作だからこそ出せる良さもあります。
でもその一方で、人数が増えるほど、目標のズレ、管理の難しさ、モチベーションの差も大きくなります。
今は便利なツールや素材がそろっているからこそ、本当にその人数が必要なのか、そのメンバーでやる意味があるのかを考えることも大事なのかもしれません。
ゲーム制作は、人数が多いほど成功しやすいわけではありません。
むしろ、目標が揃っていて、管理できて、ちゃんと前に進める形のほうが大事です。
そう考えると、今の時代は共同制作がしやすくなったというより、個人や少人数でもやりやすくなったからこそ、チーム制作の難しさがより見えやすくなったとも言えるのかもしれません。

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