はじめに
自主制作ゲームを作ろうとすると、企画の段階で手が止まることがあります。
- やりたいことはあるのに形にならない
- 企画をまとめようとすると動けなくなる
- 何を作るのか決めきれない
こういった状態です。
結論から言うと、企画が進まない原因は、「広げる段階」と「絞る段階」を同時にやろうとしていることにあります。
この記事では、自主制作ゲームを作りたい方や、企画で手が止まっている方向けに、自主制作ゲームの企画が進まない理由を整理しながら、アイデア出しと一行コンセプトをどう考えると分かりやすいかをまとめます。
なお、共同制作のまとめ役として企画・スクリプト・サブライターなどを担当した経験をもとにしたものです。参考になればうれしいです。
アイデア出し
アイデア出しが分かりにくい理由
よく「アイデア出しをしてから一行コンセプトにまとめるといい」と言われますが、自分は最初、この流れがよく分かりませんでした。
「アイデア出し」と聞くと、商業企画のように、
- ターゲットを決める
- 市場のニーズを考える
- 売れる要素を分析する
といった作業を想像していたからです。
もちろん、そうした考え方が役立つ場面もあります。
ただ、自主制作ゲームの企画では、そこから考えようとすると、かえって手が止まることがありました。
その結果、「アイデア出しと言われても何を出せばいいのか分からない」という状態になります。
ただ、経験を重ねるうちに、自分なりに腑に落ちる考え方が見えてきました。
アイデア出しは「好きを理解する作業」
自主制作ゲームにおけるアイデア出しは、自分の好きを理解する作業 と考えたほうが分かりやすいです。
たとえば、
- どんな雰囲気のゲームを作りたいか
- どんな関係性が好きか
- どんな展開を入れたいか
- どんな感情を描きたいか
- プレイ後にどんな気持ちになってほしいか
といったことです。
ここで大事なのは、「どんな作品が好きか」だけではなく、プレイヤーにどんな体験をしてほしいかまで含めて考えてよい ことです。
ほかにも、
- 感動させたい
- びっくりさせたい
- 怖がらせたい
- 緊張させたい
といった方向性も、アイデア出しの段階では大事な材料になります。
この段階では、まだきれいにまとまっていなくて大丈夫です。
大事なのは、自分が何を面白いと思っているのかを把握すること です。
一行コンセプト
一行コンセプトは、完成させるための絞り込み
アイデア出しで好きを理解したあとに必要になるのが、一行コンセプトです。
一行コンセプトは、アイデアをきれいに見せるためのものではなく、実際に作る形に絞るためのもの です。
ここでは、次のような要素を明確にします。
- ジャンル
- 主人公
- 目的
- 使用ツール
- 規模
たとえば、「RPGツクールで作る短編RPG。記憶の一部を失った主人公が、仲間と旅をしながら記憶を取り戻していく」といった形です。
ここまで落とし込めると、「何を作るのか」がかなりはっきりし、制作に進みやすくなります。
両方が必要な理由
アイデア出しだけで止まる場合
アイデア出しだけに集中すると、
- 設定が増える
- シーン案が増える
- キャラ案が増える
- やりたい演出が増える
という状態になります。
これは楽しい段階ですが、そのままだと完成の見通しが立たない まま止まりやすくなります。
一行コンセプトだけで止まる場合
逆に、一行コンセプトだけを先に決めると、
- 企画としてはまとまる
- でも中身が薄い
- 作っていて楽しくない
という状態になりやすいです。
つまり、作れるけれど、自分が本当に作りたいものが入っていない企画 になってしまうことがあります。
どちらを先に考えるべきか
基本的には、
- 自分の好きを整理したいときは、アイデア出しを先にする
- とにかく一本完成させたいときは、一行コンセプトを先にする
という考え方で問題ありません。
つまり、順番は絶対ではなく、目的によって変えてよい ということです。
よく言われる「アイデア出し → 一行コンセプト」という流れは分かりやすい方法のひとつですが、自主制作ゲームでは、最初の目的が何かによって順番を変えてもよいと思います。
具体例
アイデア出しで好きを理解する
たとえば、こんな好みがあるとします。
- 仲間との旅が好き
- 少し切ない雰囲気にしたい
- 小さな村を巡る感じが好き
- 喪失から立ち直る話にしたい
- ハッピーエンドが好き
- 読者を感動させたい
この段階では、まだ企画としては広い状態です。
ただ、自分がどんなゲームを面白いと思うのか、どんな体験を作りたいのかは少しずつ見えてきます。
一行コンセプトに絞る
ここから、一行コンセプトに落とすとこうなります。
RPGツクールで作る短編RPG。記憶の一部を失った主人公が、仲間と旅をしながら記憶を取り戻していく。
このように絞ることで、「何を作るのか」が明確になります。
アイデア出しの段階では広く持っていた好みや狙いを、実際に完成できる形へ落とし込むのが、一行コンセプトの役割です。
まとめ
自主制作ゲームの企画が進まない理由は、アイデアが足りないからではなく、
- 好きを理解する段階
- 完成する形に絞る段階
が混ざってしまうからかもしれません。
自主制作ゲームでは、アイデア出しを自分の好きを理解する作業 と考えると分かりやすくなります。
そして一行コンセプトは、それを 完成させるための絞り込み です。
大事なのは、
- 広げる段階と絞る段階を分けて考えること
- 目的に応じて順番を変えてよいと考えること
です。
自主制作ゲームの企画は、最初からきれいにまとまっていなくても大丈夫です。
段階を分けて考えるだけでも、かなり進めやすくなると思います。

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